完結作品
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ひよこが先です
📖4章
✍️2593字
最初の一文
そのひよこは、生まれた瞬間から少しおかしかった。
なにしろ、鳴き声をあげるよりさきに、ため息をついたのだ。
もともとその金色の卵は、とある農家の鶏小屋に落ちていた。
不気味な卵に鶏たちは距離を取り、
「関係ない」とでも言いたげに避けていた。
仕方なく家主は卵を家に運び、孵卵器にいれ寝室に置いた。
すこし前に配偶者を亡くした家主は、たまごに毎晩語りかけた。
家族、腰痛、若い頃の自慢話。
卵は沈黙を守っていたが、実は全部聞いていた。
ある朝、パキッと殻が割れた。
飛び出したのは、金色でも神々しくもない、
やや寝ぐせ気味のひよこだった。
ひよこは部屋を見回し、
深刻そうにうなずいてから言った。
「はぁ……まずい場所に生まれた気がする」
こうして、だいぶ先行きの怪しい物語が始まった。
完結日:2026/06/07
・ 企画者:ひよこ
(´-`).。oO()